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天体軌道
無感動な大学生が少しは人生に感想を持つべく頑張ってレビューを書いてみるブログ。
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2011/03/20 (Sun) 22:23
私は原子物理が専門ではないし、一般の人くらいの知識しか持ってはいない。
ので、自分の復習も兼ねて放射能について知っている範囲でまとめてみようと思う。
とりあえずはまったく知識がない人でもある程度理解できることを目指してみる。

まずは基本の用語から。

放射線、放射能、放射性物質という単語が飛び交っていて、いったいどう違うんだ!と思っている人も多いだろう。

「放射性物質」とは放射能をもつ物質のこと。
「放射能」とは放射線を出す能力のこと。
「放射線」とは飛び出したもののこと。
以上のように理解してもらえば大きく間違ってはいないと思う。
具体的に言うと、「ウラン」や「プルトニウム」などが放射性物質で、「エックス線」「ガンマ線」といったものが放射線に当てはまる。
では、放射能は? 放射能は概念に付けられた呼び名なので、具体的な物質を例として挙げることはできないが、放射性物質はかならず放射能を持っていると理解してもらってかまわない。

現在は放射性物質と放射能が同じ意味で使われることも非常に多いようだ。
それだけならまだいいのだが、民放は放射能と放射線を混同していることが非常に多いらしいので注意してほしい。
「放射線濃度」は正しいのだけれど、「放射能濃度」? どうやって能力の濃度を測るのだろう。もしかして放射性物質の濃度を計測してそう呼んでいるのだろうか?
ちなみに、私は報道はNHKしか見ていないのだが、少なくともNHKは混同することはほとんどなかった。(1度だけ見たかな?)


次に、単位。

報道で使われているのはシーベルト系、ベクレル系、グレイ系、さらにそれぞれに毎時がつくか付かないか、そのあたりだろうか。

接頭語にミリとかマイクロとか使われているが、1000000マイクロメートル=1000ミリメートル=1メートルという関係と基本的に同じ。すなわち、ミリは1/1000を表す接頭語、マイクロは1/1000000を表す接頭語。
マイクロを1000倍すればミリに換算できるということが分かっていれば問題ないはず。

線量の大きさについて。
例えば、1ミリシーベルト毎時という放射線量が観測された場所があるとする。
この場所に1時間いたとすると、受ける放射線の総量は? 聞くまでもなく1ミリシーベルトだと分かる。
では、6分いたら? 1/10時間しかいなかったのだから、受けた放射線の総量は0.1ミリシーベルトになる。
要するに、時速何キロで何時間走ったら何キロ進めるか、という問題と同じ関係だ。
報道ではうっかり毎時を読み忘れることがあるようなので(私は少なくとも2回は見た)注意。
とはいえ、線量として報告された場合は大体毎時が付く単位で報告されるので、ない場合はああ忘れてるなーと思っていればいいかと。

単位について。
グレイ(Gy)は吸収線量の単位。
放射線によって1キログラムの物質に1ジュールの放射エネルギーが吸収されたときの吸収線量を1グレイと定義する。
シーベルト(Sv)は生体への被爆の大きさの単位。
グレイ×放射線加重係数で定義される。
ここで、放射線加重係数というのは、放射線の種類によって生体に与える影響が異なるため、放射線の種類ごとに定められた係数のこと。吸収線量にこの係数を掛けた単位であるシーベルトを使うことで、放射線の種類に影響されずに被爆量を測定できる。
現在問題になっている放射性のヨウ素とセシウムはベータ線という種類の放射線を放出するが、ベータ線の放射線加重係数は1なので今回に限ってはグレイとシーベルトはほとんど同じと考えて問題ない様子。
ベクレル(Bq)は、放射能の強さを表す単位。
定義は1秒間に自然崩壊して放射線を発する原子核の数。
例えば、1000ベクレル毎キロの物体があれば、1秒のうちにその物体に含まれる原子のうち1000個が崩壊して放射線を出す。

ここで注意したいのが、ベクレルとグレイ・シーベルトは単純に相互に換算はできないということ。
グレイとシーベルトはその「位置」での放射線の強さなので、放射線源からの距離や間に入っている遮蔽物が変われば値も変化する。
だから、「20~30キロ圏は屋内退避」という指示が成立する。詳しくは後述。


さらに、健康被害について。

web上でおもしろい例えを見た。どうやら2ch発祥らしいのだけれど、的確な例えだと思ったので引用。

↓ここから
今一度放射能の影響度とやらを整理してみっぞ
1時間当たり○○μシーベルトという表現が使われので
量の概念があり「一定量までは大丈夫?」という考えを思い浮かべるかもしれないが
分かりやすく熱エネルギー換算して影響度を見てみるとそうでないことが分かる

30度の熱を頭から10分間注がれてもやけどはしない(永久無害)
60度の熱を頭から5分間注がれたら大やけどする(時間の蓄積でダメージ増加)
300度の熱を頭から1分間注がれたら致命的なダメージを受ける(時間に関係なく致命傷)

いずれも全体的なエネルギー量は同じだけど
短期間にでかいエネルギーを食らうとより致死率が高まることが分かる
また皮膚の耐性から一定以下の温度なら完全無害であることが分かる

少なくともTVで報じている「年間に受けても大丈夫な量」と「1時間当たりに受ける量」は比較対象でなく、
「永久無害」と「時間の蓄積でダメージ増加」の境界ラインがどこにあるかを知ることが最重要となる
↑ここまで

熱をお湯と置き換えて読むともっと分かりやすいだろうか。
厳密には違うところもあるのだけど、概念的なところは大体同じだと考えてもらっていいと思う。
すなわち、ごく微量の放射線を長期に渡って浴びても明確な健康被害は発生しないということ。
通常の生活をしていても、誰でも「自然放射線」というものを浴びている。これは、空気中に含まれる放射性物質が発する放射線や、宇宙から降り注いでくる宇宙放射線、さらに自然に食べ物に含まれる放射性物質が発する放射線などの総称。
世界平均は2.4ミリシーベルトだそうだ。これを生涯に渡って受け続けているのが世界標準ということ。
従って、これを毎時に換算した程度の量を受け続けても問題ないと考えられる。
どの程度の強さなら24時間毎日浴び続けても問題ないかという点は、はっきりとは分かっていない。

東大病院放射線治療チーム(@team_nakagawa)が分かりやすい解説をしてくれている。
twitterでツイートした内容をPDFでまとめたものをこちらに随時更新してアップロードしてくれているので、参照されたし。


政府の指示について。

まず、20~30キロ圏内は屋内退避という指示について。
放射線は、遮蔽物があれば弱くなる。NHKが報道したところによると、家の中にいるだけで放射線の強度は1/10程度まで下がるとのこと。
外出も短時間であれば問題ない。その際、後述のようにマスクをしたり帰宅時に「除染」したりすることでより被曝量を少なく抑えることができる。
車の中でも、家の中にいるのと同程度まで(つまり、1/10程度まで)強度が下がるとのことなので、運送業に従事する皆さんは安心して被災地に物資を届けてあげてほしい。

換気をしないようにという指示について。
これは、家の中に放射性物質を入れないため。せっかく家という遮蔽物があっても、家の中に放射線源が入ってきてしまっては意味がないので。
そのため、外出した後に服を着替えるなども有効。

外出する際はマスクをしたり濡らしたハンカチで口と鼻を覆うようにという指示について。
これは、「内部被曝」を防ぐための措置。
まず、内部被曝というのは、放射性物質を食べたり吸い込んだりして体内に取り込んでしまった結果、それが排出されるか安定な物質に変化するかするまで放射線を浴び続けることになること。ゼロ距離射撃を食らい続けるようなものだと思ってくれればいい。
これを防ぐためには、マスクなどが有効になる。要するに、被曝量を低く押さえるためには花粉症防止の対策(吸わないようにマスクをする、家の中に持ち込まないように外出後は上着を払う)などが有効だということ。

二次被曝の問題。
福島県から避難してきた人を、旅館が二次被曝をおそれて宿泊拒否したというニュースがあった。
厚生労働省は宿泊を拒否することがないように宿泊施設を指導するよう都道府県に通知したそうだ。
放射線関係の一般に対する安全基準は2桁くらい上がっても問題ないほど厳しく定められているので、厚生労働省が通知を出したのならまったく問題ないと思ってもらって構わないはず。
ソースは不明だが、人間同士の二次被曝は被爆者が即死レベルで被曝していなければ起こらないという説も。
そもそも南アメリカの高地に住んでいる人は自然放射線によって年間10ミリシーベルトくらい被曝しているらしいので、それくらいの量なら大丈夫だと思うのだが……。

「除染」について。
なんだか大袈裟な単語だが、要するにこれは服を着替えて洗濯して風呂に入れと、そういうこと。これだけで衣服や頭髪に付着した放射性物質を大幅に洗い落とすことができる。
洗い落としてしまえば被曝量は大幅に抑えられる。が、上述のように体内に吸い込んでしまうとゼロ距離射撃を食らい続けることになるので、マスクなどとの併用を強くお勧めする。

以上、政府の指示関連のソースはNHK。


それから、明確なデマについていくつか解説してみる。


1、ヨウ素を含むうがい薬を飲む(口に含むだけでも効果あり)と被曝の予防になるという話。
これは厳密に言えば確かにデマではないのだが、うがい薬は飲むな。絶対飲むな。

まず、何故ヨウ素を摂取するといいのかについて。

人間ののどのあたりに、何種類かのホルモンを作り出す甲状腺という器官がある。
ここで作られる甲状腺ホルモンは、ヨウ素を原料としている。この甲状腺ホルモン、wikipediaによれば非常に重要なホルモンらしい。

ところで、ヨウ素は、厳密に言うとたくさん種類がある。ヨウ素127、ヨウ素129、ヨウ素131、その他いろいろ。
後ろについている数字は質量数。高校で化学をやった人は分かると思うが、やってない人や高校生以下の人向けに少し解説。
すべての原子は、陽子と中性子と電子からできている。
ある特定の種類の原子では、陽子と電子の数は必ず同じ。逆に言うと、この数がどの元素になるかを決めているともいえる。
中性子の数は原子の種類は決めないが、その原子がどれくらい安定しているかに影響している。
陽子と電子の数でまず元素の種類(酸素とか水素とか)が決まって、さらに中性子の数でその元素の中でも細かく分かれている、ということ。
今回のヨウ素の例で言えば、同じヨウ素という元素だけれど、質量数によって何種類にも分けられているということ。

で、今回の原子力事故で放出された放射性物質のひとつが、ヨウ素131。
逆に、安定で放射能を持たないのが、ヨウ素127。自然に存在するヨウ素はほとんどこれ。

ここまで言えば大体読めたと思うのだが、要するに甲状腺が原料として放射能を持つヨウ素131を集めてしまう前に、放射能を持たないヨウ素127を摂取しておけば、ヨウ素131の吸収を抑えられると、そういうこと。

だから、ヨウ素を摂取することは放射性ヨウ素による被曝の防止になる。ここまでは正しい。
では、どこからが間違っているのか?

間違っているというのではないのだけれど、まず、日本人という特性。
日本は島国なので、海藻の摂取量が多い。で、海藻は海水からヨウ素を濃縮する。すなわち、日本人は普段から十分な量のヨウ素を摂取しているということ。
十分なヨウ素を摂取しているのなら、特に慌ててヨウ素だけを取らなくても大丈夫。普段海藻類をまったく食べない人は……この機会に食生活を見直してもいいかもね。

次に、うがい薬という点。
うがい薬は飲まないことを前提に作ってあるので、飲むと体に悪い物質をいろいろ添加してある、とNHKのニュースで専門家が言っていた。
上述のように日本人はヨウ素は足りているので、そんな危険なものを飲まなくても……。

もし仮に、本当にヨウ素の摂取が必要になる事態が起きたら、そのときは「安定ヨウ素剤」というものを服用する。これは医師の処方が必要とのこと。
さらに、40歳以上では放射性ヨウ素による甲状腺障害の発生率は有意ではない(確率的に偶然かも知れないレベル)のでWHOの基準では安定ヨウ素剤の投与は40歳未満に対してのみ行われる。ちなみに、IAEAの基準は年齢性別を問わない。
というかむしろ、日本人は十分なヨウ素を摂取していることが多いので逆に過剰摂取に注意する必要があるとのこと。


この記事は、ほとんどがNHKかwikipediaで調べた内容をまとめてみたものなので、間違いがあるなら指摘してほしい。
後々追記することもあるかも。

最後に、原子力関連で信頼できるサイトやtwitterアカウントを紹介しておく。
サイエンス・メディア・センター ジャパン
身元の確認が取れた専門家のコメントのみを掲載。
東京大学放射線治療チームのtwitterアカウント
上述の通り、医学的な解説をしてくれている。
東京大学大学院理学系研究科 早野龍五教授のtwitterアカウント

それから、何故原発を建てたのかという分かりやすい話。全部が全部真実だとは思わないが、核心を突いているのではないかな。
http://technohell.tumblr.com/post/3918493586/50hz
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