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天体軌道
無感動な大学生が少しは人生に感想を持つべく頑張ってレビューを書いてみるブログ。
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2012/01/22 (Sun) 04:49
伊坂幸太郎「モダンタイムズ」、文庫版が職場に上下揃ってあったので読了。計約800ページ。
レビューというか、つらつらと感想を。

21世紀半ば、ネットが過剰なまでの力を持っている、徴兵制のある、中国が中国ではない世界観(名前が変わっている)。「魔王」という作品の続編で、読んでいないのだが登場人物など被るところがあるらしい。

全体として、妙に主人公が拷問されかけるシーンが多い。主人公側につきかけた(と言えるのかどうか微妙なところだが)男が実際に拷問されているシーンもあった。
個人的にそういうのは嫌いなのであれ以上そういうシーンがあったら投げていたかもしれない。と言いつつ結局最後まで読むんだろうが……。
また、主人公の嫁が頭はいいのに偏執的で浮気を疑ったら証拠集めより先に人雇って旦那を拷問にかかるようなタイプで、えっこんな女いるの、というかこいつ楽しんでるよね?
後々絡んでくるシステムとしての国家も妙に暴力に偏っていて、結果話全体も妙に暴力的な印象になっている。

テーマは、ネット依存社会の落とし穴(個人情報、捏造、炎上他)と過度にシステム化されて全体が想像できない社会か。
作家が本当にテーマにしたものは違うかもしれないが、私個人としてはそう読んだ。
07年に連載、11年10月に改稿ということもあるからか、最近の捏造されて炎上というようなネット事情も取り込まれていてその辺もなかなか興味深かった。
また、「ネットに書いてあったから」と全部信じてしまう危険性についても少しあった。
話の中にネット上の誹謗中傷が原因で付き合いが長いはずの近所の老人にまで信じてもらえなくなった漫画家が出てくる。これは個人に対する誹謗中傷だが、例えば昼のワイドショーで声の大きい発言者が(故意作為は問わず)正しくない情報を撒き散らして結果的にデマを扇動するような危険にも通じるところがあると思った。この不正確な情報を鵜呑みにする人が増えている現状が行き着くところまで行けばこうなるんだろうなぁ、という印象を受けた。
また、過度にシステム化された社会では仕事が細分化されて、「仕事だから」がすべての言い訳になってしまう、という主張が後半頻繁に出てくる。
何だかんだ思ったはずなのだが、話全体が暴力的な所為でこの主張が「仕事だからと暴力(この話の場合拷問)が正当化される」というところに落ち着いてしまって、しかも主人公の嫁が自分は夫の不倫を疑って人を雇って無実の夫の腕を折るまでやった上それを全く悪いと思っていないくせに「仕事だからと正当化して嬉々として拷問するな、せめて悩んで苦しんでやれ」とか言い出した所為でああこの嫁だめだ人間としてなんか壊れてやがるという感想に集約されてしまった。
 
あと、本筋にはほとんど関係ないのだが、浮気を疑う嫁にしろ人を探しているヤの付く自由業さんにしろ、無関係な事に関係あると決めつけられてターゲットにされたらどうすればいいんだ、ということを読みながら考えていた。
悪魔の証明をしろと言われているようなもので、特に情報関係だと頭の中を見せるわけにも行かないのだから、暴力に訴えられた時に対処のしようが思いつかない。

結論、主人公の嫁に全部持って行かれた。
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